プロデュース&プロモーション
宮川が得意とする軽快な曲はノリが良く、高音域の伸びが良い新人歌手石川ひとみの良いところを引き出しています。
しかし、歌詞の内容は高校を卒業したばかりの石川ひとみちゃんには大人び過ぎているように思う。
この『右向け右』の歌詞は、25歳の歌手にならふさわしい内容です。
であれば、曲作りも全然違ったじっくり聴かせる系のモノになっていたでしょう。
しかしそうするととうてい18歳の石川ひとみにふさわしくない。
そこで、宮川は軽快でノリの良い曲調にして、歌詞のシビアな印象を薄めるような曲作りを目指したのではないか。
あるいは逆に、宮川の軽快な曲に、三浦徳子がシビアな歌詞を滑り込ませたのかもしれない。
どのような意図があって、わざわざこのような「歌手と歌詞と曲と」のミスマッチをやったのか、という疑問を感じるデビュー曲でした。
この不自然さに、ナベプロの「新人歌手石川ひとみ」プロデュース戦略が見えています。
この問題を的確に把握するためには、石川ひとみがデビューしたその時代背景を見ていかないと、片手落ちになるでしょう。
以下、何回かに分けて、少し詳しく見ていきましょう。
はじめにデビュー曲とセカンドアルバムを私なりに解釈し、寸評しておきたいと思います。
『右向け右』
...このような歌詞は、社会経験や男性経験をある程度重ねた女性でないと書けないものです。
三浦さんの得意な世界ですね。
・去っていく彼を追っちゃいけない
・ここまできた二人なら、今更どうにもならないわ
・そんなに信じられなきゃ、さっさと消えればいいでしょう
こんな歌詞が歌える、似つかわしい歌手っていえば『プレイバックパート2』の頃の山口百恵さんしか思い浮かびません。
女性の年齢で言えば、25歳以上の歌手が歌うと良い。
ロシアの箴言に、
「20歳(はたち)までの女は自分を殺す(耐える)、
25歳までは自分と相手を殺す、
25過ぎの女は相手だけ殺す」
...というのがあります。
あっ、これはあくまでもロシアのお話ですから、ムキにならずに...
このような醒めた視点を持つ大人の歌を、18歳の愛くるしいひとみちゃんに、しかもファーストインプレッションを決定づけるデビュー曲として歌わせるのか?!
どう考えても、ミスマッチの感は免れません。
その辺を三浦は分かっているようで、シビアな歌詞の最後に、
「なぜなの?本気だった気持ち、振り向いて!」
...という、取って付けたような、あるいは取り繕うような、それまでの歌詞の流れから浮いた一節を加えて、いささか強引に「少女の熱い思いの歌」に偽装しているとしか言えません。
ちょっと、無理があります。
歌詞全体の流れにコーポレイトアイデンティティー(一貫したイメージ)がないですね。
私に言わせれば、もっと年上の歌手に作った歌を彼女向けにリメイクした、かのような不自然な感じがします。
このような、複雑怪奇なモードを持つ歌を、18歳の石川ひとみちゃんはどう歌ったのか?
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