石川ひとみが抱く少女世界に感応する小室みつ子の青春ソング。
『好・き・・・』というストレートなタイトルが、恋活以前的少女世界を暗示している。
ここには恋の駆け引き的な要素は何もなく、ただただ恋を夢見る個幻想が描かれている。
『好・き・・・』というストレートなタイトルが、恋活以前的少女世界を暗示している。
ここには恋の駆け引き的な要素は何もなく、ただただ恋を夢見る個幻想が描かれている。
石川ひとみ 【好・き・・・】 LP「夢模様」(1981.11.21)
作詞・作曲:小室みつ子/編曲:大谷和夫
作詞・作曲:小室みつ子/編曲:大谷和夫
「好き!」と、声に出して言うのではなく、「好・き・・・」と心の中でつぶやく世界...
元祖可愛い女性の島倉千代子「からたち日記」を想い出しました。60歳過ぎて、声がかれてしまってもこのような青春ソングを歌いきれる人は他にいません。
「あなたとあの娘がうまくいってない」と聞いて、胸躍らせる...少女的残酷さ(身勝手)。そして、あの娘が髪を短く切ったの知り、失恋したと察知する。
あなたはロン毛の娘が好きだから、私は髪を伸ばしたままでいるわ...恋活には進まずに、個幻想世界で様々に思いを馳せる私。
これは『まちぶせ』の小室みつ子バージョンだと言ってもよいでしょうね。
「あなた」は結構モテ男のようで、別な娘と付き合い始めるけれども、「後ろ姿が似合ってないから、永くはないわね...」と冷静さと嫉妬心が混じり合った気持ちで見ている。
そして、男の浮気性さえも、本気で好きになれる娘に出会ってないからで、自分だけは違うという盲目的心情。
『まちぶせ』では相手に向かって自分を駆り立てる感情が勝っているのに対して、小室さんの場合は自分の内面に向かっていく度合いが際立っています。
彼女の歌詞を石川ひとみさんが好きだというのは、「自分からは好きだなんて、絶対言えない」という心情と通じ合っているからですね。
感受性の質がお二人は似ているのでしょう。
小室さんはCD-BOXの寄稿で、
「作家たちが練りに練った作品たちは、石川さんがその愛らしい声で歌ってくれたからこそ、完成形となって今も存在するのだと実感します」と書いています。この「夢模様」アルバムは全体が、そういうモードで作られています。
けれども、プロの作詞家として進もうとしていた小室さんは、他の作詞家同様に屈折した内面世界の広がりを抱えていると想像されます。
「あなたのことなら 何でも知ってる
いつも見ている 私だからこそ」
男女共学の学園生活では、こういうことって結構ありますけれど、男にとっては知らない方が良い事実かもしれませんね。
一歩間違えばストーカーの世界ですけれど、自己を対象化する表現者としての倫理観を持っている作者ですから、青春の美しき過ちに走ることはない。
しかし、そういうものを持ち合わせていない者がこのような歌詞を読むと、「ストーカー的だ」とかすぐに言います。
けれども、それはその人自身がストーカー的なものの見方しかできない、というに過ぎないでしょう。
ひとこと、クギを刺しておきたいと思う。
あわせて、この曲などは、『まちぶせ』以前のLPに、というか「夢模様」自体を1979年頃にリリースしてもらいたかったなと、思いますけれど。
コメントする